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研修のお供をさせたスケッチブック君

The word is last one..? That.. is...


私は、「終わり」という言葉があまり好きではありません。
日程が決められているのですから終わりが来るのは当たり前の事なのですが
研修中、否が応でも意識せざるを得なかった最後という言葉。
特に意識する事も無く一日一日を目一杯、存分に楽しんで過ごしていましたが、
時間が残り僅かとなってくると、
「もう終わってしまうのか…」という残念な思いで胸がいっぱいでした。
他の語学研修などよりもずっと短い期間だったからこそ、
一瞬一瞬の大切さが身に沁みて感じられました。
事実、七日間という限られた短い時間の中で、
何十日、何百日分にも値するような密度の濃い経験をしたのだという実感があります。


参加する前にはほんの軽い気持ちで、単なる小旅行と何ら変わらない
つもりでいたのですが、そんな自分の軽佻さを恥ずかしく思いました。
得たものは自分の予想以上に大きく、「視野を広げられた」というよりも
「視界がひらけた」ような心持になりました。
非日常に身を置いて新しいものに触れることで
平生とまた違った客観的な視点で
自分を見つめ直すきっかけにもなったと思います。


国際関係論の講義を担当されている先生が、
留学経験者として手解きしてくださった内容に、
今回の研修に通ずるものがありました。


人は成長する過程で外界からの刺激を多分に受けて
徐々に内面の殻を固めてゆきます。
この時に、何が「真」で何が「偽」なのかを
時には無意識に、時には意識的に、
「自分の中」で、「自分が得心のいく形」で修めていくのです。
そのため持論や所論というものは、それが例え
自身から湧き出てきた新たな概念だと確信できるものだとしても
その殆どが、大なり小なり「他」の影響を受けています。


私はこれまで、その事が、
突っ込んで言えば、「『他』から影響を受ける」
…曲解すれば「『他』に左右される」ことが
「悪い」ことであるとばかり思っていました。


しかし、そうじゃないんだということ、
固定された視点だけでは物事を正しく見極められないのだということ、
「内」から「外」へと飛び出し、視野を広げること、
視点を増やすことがとても大切であるということを教えてくださいました。
まだ私たちは発展途上です。
ただでさえ、思潮というものは、移ろいの速度が急速なものなのです。
先生は、「まだ己の観念を固める必要はない」と仰いました。


"君子豹変ス"
"A wise man changes his mind, a fool never."
ではありませんが、
何れにしろ、「受ける」側の性根玉が
腐っているか、腐っていないのか、
どれだけ腐っているのかが
問題なのだと改めて気づかされました。


"朝ニ道ヲ聞カバ、夕ベニ死ストモ可ナリ"
孔子のような悟りは開けるか
どうかわかりませんけれど
「新境地に達してやる」妙な意気込みは
身の内から湧き出してきたと思います。


今回その一助となったのが自分のうざったいほどに
「知りたい欲求が先行してしまう」図々しい性格でした。


たくさん質問をさせていただいたおかげで、
学術的な話だけでなくプライベートなお話も
伺うことができたわけですが、その
知りたがりが興じて一度貴重な話を遮ってしまいました。


CGセミナーで御三方に
実際の映画でCG技術がどのように使われているかを説明していただいていた時です。
具体的に、「どのようにエフェクトを入れてどのようなソフトウェアを使用して」、
というような真面目な説明の合い間に、渡辺さんが私たちの緊張を解すために
業界の裏話や小話、笑える話などをちょこちょこと入れてくださっていたんです。
そのうちのひとつを…貴重なひとつを…私の質問で遮ってしまったのです…。
あれは確か、ゲーム上で使われるテクスチャマッピングのUV情報の取り方を
説明していただいていた時でした。
ゲームに必ず出てくる光線や炎、魔法などの特殊な効果は
普通のテクスチャマッピングとは異なった方法を取るそうなのですが、
こんな小さな質問で重要な話を止めてしまうなんて…。
もう一度お願いすれば良かったのですが話の流れが変わってしまって
そのままきけずじまいに…。
このセミナーではプログラムが決められて司会進行がいたわけではないので
質問の内容も決められた内容ではなく自由にさせていただけたわけです。
ですから、渡辺さんも順を追って話されていたわけではないので、
おそらくご本人も覚えていらっしゃらないと…。


迷宮入りです…。


後先考えずに行動しない慎重さが必要だと痛切に感じました。


お三方には本当に良くしていただきました。
嬉しい励ましの言葉までいただいて、
本当にこれ以上はないです。


研修を受け、感じたのは「縁(ENISHI)」の存在でした。
得たものは何かと問われれば、何よりもまず、出会いをあげます。
現地のコーディネータの方々、私たちの為に時間を割いてくださった方々、
支えてくださった先生方と旅の仲間たち、
出会った皆さん一人一人にたくさんたくさんの感謝の気持ちを。


ありがとう。


そして、
これまでコメントをくださった皆さん、ありがとうございました。
特に小林先生、初日からマメにチェックしてくださってありがとうございました。
大変励みになりました。
先生の、「寝れるかー!」は私たちの間でちょっとした流行でした(笑)
e.g.   (ノ`д´)ノ ~┻━┻   「寝れるかー!!」


そしてそして…。
佐野先生、大変お世話になりました。
「あれしたい」「これしたい」「あそこ行きたい」の
我が侭を丁寧に一つ一つ聞いてくださってありがとうございます。
裏で何を言われていたかと思うとガクガクブルブルもんです。
感謝よりも平身低頭で「申し訳ありませんでした」という感じです。
ゼミでビシビシしごいていただけるとの事、大変楽しみにしております。
三人共同制作の超大作を期待して待っていてください。
(えむなみさんの愛の争奪戦では絶対に負けませんから)



「終わり」ではありません。
私たちは終わりません。
非日常から日常へと戻ることで
日常の中に埋没してしまいそうになるかもしれません。
そんな時はこの事を思い出します。
何を感じ、何を思い、何を決したかを忘れません。

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帰ってきて早々、生意気にも風邪をひいて寝込んでしまいました。


成田空港に到着し、新幹線を待つホームにて、感傷に浸りながら
「私たちはどうやら逆ホームシックにかかってしまったようだ」
と言ったら、先生に笑われてしまいました。

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Could you remember us..?