2日目

メルシー

今日の一言「We have later」



大変貴重な一日でした。
一般の観光では見られないようなものを
たっぷり見せていただけたので
物凄く濃度の濃い時間を過ごす事ができました。


朝早く、月が輝いている時間帯に起床し、
そのまま「WARNER BROS. STUDIOS」へ直行。


カートをくってガイドをしてくださったのは「アダム」さん。
敷地内中(本来案内してはいけないような奥の奥まで連れて行ってくださったので
本当に「敷地内中」だったわけです)を、一箇所一箇所、
色々なエピソードを交えながらガイドしていただきました。


セットの「材質」は、その全てがまったくの見せ掛けのもの。
大理石に見えていたものがプラスチックであったり、
コンクリートの地面に見えていたものが実はゴムだったりと、
無機質なセットたちもかなりの演技派。


重要なのは、「レンズを通して映像化された時」の「っぽさ」を
より、「っぽく」表現させるにはどうすれば良いかということになります。


芸能人の物真似で、大袈裟な動きで真似ている物真似さんの方が、
本人よりも、「らしい」と感じるパターンと似ています。


直にレンズを通さないで間近で見ても本物と見紛うほどのセット
なのですが、更にそこに手を加えようとするのですから、
映画に対する大きなコダワリがそこにはあるのだ感じました。


撮影の際の遠近感や焦点の当て方を考慮した際、
俳優、メインのセットのバックは、本物のセットよりも
絵に描かれたバックの方が、より「らしく」なったりもするそうです。
実際に、絵の自動販売機や木々のセットが設置されていました。


同行してくださっている日本人の方の話によると、
これまでは、画面を通した時に本物に見えるための技法は、ほぼ画一的な
方法が確立されてきていたのですが、近年になって一般家庭にも
デジタル(映像)テレビが普及し出した為、もう一度、セットの
建て直しを図らなくてはならないかもしれないということです。


…23時まで墜落。そこから4時まで粘り。続きは次の日…

午後の部


午後は「Rhythm&Hues」社の見学。
案内をしてくださったのは社の広報の「スコット」さん。


映画の上映が近くなると日本のテレビ番組で「Rhythm&Hues」のような
会社の仕事場を特集で放送していることがありますが、
そのテレビの画面越しに見ていたCGクリエータたちの仕事現場を
生で、この目で、見てくることができました。


何と、社内を見学する際、クリエータさんたちが
仕事をしている仕事場でもカメラ撮影をしても良いという許可を
いただけたのです。が、とてもとてもそんな恐れ多い事できるような
雰囲気ではありませんでした。皆さん薄暗い室内でコンピュータに
向かって真剣に仕事をなさっているわけですから、
そんな中でパシャパシャ写真撮影なんて巫山戯た事できません…。


その分、自分の目でじっくりと眺めさせてもらいました。
アメリカのCG制作の現場は日本とは違い、制作の工程が隅から隅まで
細分化されていて、各工程に特化したスタッフが
自分の担当となる部分の処理を精緻な技術でこなしていきます。


アメリカの(CGに限らず)会社は、社員にとって最高の環境だとよく聞きます。
日本では到底実現し得ないシステムだと思いますが、
実際のアメリカの社内環境を覘くと、
「日本は日本だからアメリカのような環境をつくる事は無理」
などいう消極的な態度でモノを言っている場合では無いように思えます。
技術系の職業は特にそれが顕著で、
日本のような劣悪な環境で良い人材を育み伸ばしていこうなど
ただの理想論、希望に終わってしまって、
気づいた時には遅すぎるほど病巣は広がっている筈です。
単に体制をアメリカ風に変えるだけなどという
表面上のみの単純な模倣では根本的なシステム、歴史の違いから、
その体制は早々に足元から崩れていく事が目に見えています。
完全にアメリカのレプリカとなるより(寧ろそうはならない)は、
良い部分を採り入れ、悪い部分を改善させ、対応させていける部分を
刷新させ、日本の得意技である適応を徐々にしていく事が
変革の成功へと繋がっていくのだと思います。



Thanks, アダムさん、スコットさん。